研究概要 |
平成17年度は本研究の2年目で,昨年度に引き続き主に文献や論文の収集並びに研究と人事担当者等に対する面接調査を行い,諸外国の制度の研究,内外研究者の理論研究,および次年度に実施を予定している大量のアンケート調査の予備的な実態調査を行った。平成17年4月に施行された次世代育成推進支援対策法に対する,企業の取り組み方が少しずつ明らかになり,大手企業では,育児休業・短時間勤務のなどの取得促進,有給休暇制度の拡充,テレワーク,不妊治療目的の休業・融資制度,再雇用制度,専門部署の設置,出産祝い金などの支給,託児所の設置,休職者への社内情報などの提供等を次世代支援策の行動計画としている。但し,これらは複数の制度を組み合わせて運用しないことには実効性がないものと考えられるので,次年度はアンケート調査や面接調査を通して実態や問題点を明らかにしていきたい。 一方,ヨーロッパを中心とする諸外国でのおける支援策は,たとえば育児に対する経済的支援についても,出産休暇中は賃金の80〜100%の手当が支給されている。わが国では雇用保険で40%が支給されており,企業によっては第3子の出産祝い金を100万円支給する企業もある。子育てと仕事の両立支援として,ヨーロッパでは出産休暇が14週から5ヶ月間付与され,出産時の父親休暇もスェーデンでは60日間強制的に取るよう義務づけられているは。その一方でわが国では女性社員に出産退職を促す企業も有り,さらなる制度の改善,法制度の整備が必要である現状が明らかになった。
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