研究概要 |
平成18年度は本研究の最終年で,昨年度に引き続き主に文献や論文の収集並びに研究と人事担当者等に対する面接調査を行い,諸外国の制度の研究,内外研究者の理論研究を行った。次世代育成推進支援対策法に対する,企業の行動計画が明らかになり,育児休業・短時間勤務のなどの取得促進,有給休暇制度の拡充,テレワーク,不妊治療目的の休業・融資制度,再雇用制度,専門部署の設置,出産祝い金などの支給,託児所の設置,休職者への社内情報などの提供等を積極的に行っている。ただし,これらの制度はいくつかを組合せて運用しないことには実効性がないものと考えられる。また,数値目標を掲げている項目の中では,特に男性の育児休業取得率をいかに達成するかが焦点になろう。 ヨーッロパを中心とする諸外国では,支援諸施策が実施された結果,例えばオランダ・モデルと言われる働き方を実施したオランダでは,1980年代以降女性の労働力率が20%以上上昇した。ノルウェーでは1980年に女性労働力率が60%を超えていたが,その後20年間で10%以上上昇している。その一方で,1980年代に入り,両国は合計特殊出生率が緩やかではあるが上昇しているのである。女性も男性も仕事と家庭の両立ができるための有効な次世代支援策を実施すれば,出生率が上がり女性労働力率も上昇することが明らかになった。わが国もこれら次世代支援に対する先進的な取組みを行っている国の制度を学ぶべきである。
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