研究概要 |
日本企業と台湾企業の中国進出と地域投資環境との相関関係の解明を目指し、本研究を進めてきた。本研究は、まず業種別、設立時期別および地域別の見方から、どのような日本企業と台湾企業が、いつ、中国内のどの地域に、進出しているかという問いを解明することに努めた。さらに、比較研究においても利用できるような一般化モデルを用いて、多変量統計解析を通してモデルを推定した。 3年研究計画の3年目である平成18年度においては、追加資料の収集・アップデート・分析、分析フレームワークの理論根拠の強化および分析結果のまとめ・発表に力を入れた。特に、海外直接投資の分析フレームワークには、M. E.ポーターの「地域競争優位」概念を取り入れ、地域選択理論と結びつけた。つまり、企業が地域選択する際、地域競争優位が高い地域に進出する可能性が高く評価されるという仮説を立て、理論的に展開することを可能にした。筆者は、既存研究より地域競争力の指標の概念を採用・修正し、地域選択の分析フレームワークに取り入れ、従来研究が使用している各々異なる複数の説明変数を、地域競争力を測る4つの複合説明変数に展開し、自ら開発した地域選択モデルを構築した。 結果の一部としては下記の学術誌に寄稿し掲載された。 Chang, Chiao-sen (2007)Determinants of Location Choice of FDI in Emerging Economies: A Focus on Taiwanese FDI in China.The Study of Business and lndustry, No.23,PP.23-35. 張喬森,2007「日本企業の中国における地域選択戦略の実証分析」『商学集志』第76巻第4号,pp.1-15. また、産業別における対中立地戦略の研究分析の整理も進んでおり、その一部(IT産業における企業の対中進出の地域選択戦略)は秋までに国内の学会に発表する予定である。研究プロジェクトの研究補助期間が完了したが、分析結果をさらに整理・統合し、国際的な学術誌への寄稿することを目指している。
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