研究課題
体制転換期のロシア企業の変化のあり方を全体的にまとめる作業を行っている途中である。今年度は、次の2点を中心に研究に取り組み、成果を公表した。(1)ロシアにおける小企業の発展について(論文"SME in the Transition Economies")。ソ連時代には企業規模が全体に大きく、中小企業が経済において占める比重はわずかであり、また、私的企業活動は禁じられていた。ゴルバチョフ時代からロシアの中小企業発展の歴史が始まり、エリツィン時代初期の1992-1994年に小企業がほぼ民営化され、新興小企業も大量に現れた。しかし、1995年以降、財閥に経済力が集中され、同時に「行政的障壁」が高まることによって、小企業の発展はむしろ抑制されている。(2)WTO加盟交渉とロシア企業の関連について(論文「WTO加盟がロシア経済に与える影響」、「ロシアにおけるWTO加盟問題」)。移行経済諸国が次々とWTOに加盟する中で、長引いていたロシアの加盟交渉も決着に近づいている。この間のロシア企業のWTO加盟問題への態度の変化について検討してみたところ、次のことが明らかとなった。ロシア実業界は当初、国際競争にさらされることを恐れて、加盟に慎重であったが、その後、積極的なロビー活動を通じて加盟交渉の過程に相当な影響力を行使し、同時に西側企業との提携などによる競争力向上に努めてきて、現在では加盟を受け入れるようになってきた。
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Meiji Business Review Vo.51,no.4
ページ: 61-86
明治大学社会科学研究所紀要 第43巻第1号
ページ: 205-218
経営論集 第52巻第1・2号
ページ: 35-48