研究概要 |
当初掲げた本年度の研究計画にそって研究成果を整理する。 1 選好変化メカニズムの実証分析:昨年度の研究を通じて,選好の進化(形成,変化)プロセスにおける消費者間相互作用の重要性が十分認識されたため,その観点からの研究をより重点的に行なった。 (1)消費者が相互作用を通じて選好を変化させる場合,消費者間での影響力を持つ存在(オピニオンリーダー,インフルエンサー)の役割が見逃せない。その場合,昨年行なったシミュレーション研究で示されたように,市場のトレンドを消費者がいかに予測できるかが鍵となる。そこで消費者の予測能力に関する実証分析を行ない,その成果を学会で発表した(「"予言する"消費者たち〜需要を先取りする顧客の発見」,日本マーケティング・サイエンス学会第77回研究大会,2005/6/12)。 (2)消費者間の影響関係とそれに伴う選好・選択行動の変容に関する既存研究をレビューし,今後の課題について整理し,その成果を学会で報告した(成蹊大学山本晶氏と共同,「消費者間影響関係の研究枠組み:レビュー」,日本マーケティング・サイエンス学会第78回研究大会,2005/12/11) 2 選好変化への製品政策の事例研究:消費者の選好を変化させる要因として製品自体よりは広告に注目し,また方法論として事例研究ではなく,世帯の広告露出を含む購買履歴データ(シングルソース型スキャナーパネルデータ)を用いた実証分析を行なった。今回,特に傾向スコアを適用した点に独自性がある。その成果については,"Assessing Short-term Effectiveness of TV Advertising via the Propensity Score,"Marketing Science Conference at Emory University.(2005/6/17)と「TV広告の購買に対する短期効果の検証〜傾向スコアの適用」日本行動計量学会第33回大会.(2005/8/27)で発表した。
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