研究概要 |
1990年代の日本の流通変革を総括する研究の一環として、小売業態ミック戦略の革新、商品供給システムの革新、組織構造の革新という3つの角度から「小売の業態革新」に焦点を当てた研究に取り組みました。販売組織の面では、フランチャイズ・システムが急速に広がっている中で、契約理論を用いてフランチャイズ・システムの研究に取り組みました。このフランチャイズ契約においては、商品の仕入額に比例した料金と、固定的なフランチャイズ料に加えて、売上高や粗利益をベースとしたロイアリティの支払いが義務づけられています。フランチャイザーとフランチャイジーのそれぞれの努力が成果に対して補完的な関係にあり、さらにそうした努力水準が両者にとって私的情報となっているような「2重のモラルハザード」(double moral hazard)のもとでは、ロイアリティが最適契約の解を達成するための手だてとなるという点を契約理論によって明らかにしました。 研究成果の一部は、京都大学のCOEセミナーなどで報告するとともに、チェコ・プラハ(European Institutes of Retailing and Service Studies,2004),ニュージーランド・ウエリントン(Australia and New Zealand Marketing Academy Conference,2004),イタリア・ミラノ(34^<th> European Marketing Academy Conference,2005)とポルトガル・ボルト(32nd Annual Conference of the European Association for Research in Industrial Economics,2005)での海外の学会で報告し、学会報告集(refereed proceeding)に公刊されました。また、研究成果の一部をとりまとめて書物を公刊しました。
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