今年度は、地域金融機関にヒアリング調査を実施し、アンケート調査のための仮説を構築することが主な研究内容である。具体的には、地方銀行4行(秋田銀行、北都銀行、千葉銀行、佐賀銀行)、第二地方銀行1行(北洋銀行)、信用金庫3金庫(札幌信用金庫、ぐんま信用金庫、朝日信用金庫)を訪問し、ヒアリング調査をおこなった。また、それ以外にそれぞれの地域に居住している研究者や銀行の関連会社の方からも意見を聴取した。 ヒアリング調査と同時に、4業態ごとの損益計算書を分析し、数字の上での各業態の特徴・動向を把握するように努めた。 地方銀行は、経費の大幅削減、役務取引等利益の拡充、個人への融資の拡充を図ってきていることがわかる。これを基本にすると第二地銀は、経費の一層の削減、役務取引の拡大などが課題になっている。信用金庫は職員が多く、人件費が多いのが特徴となっている。face to faceを重視して、地域の法人・個人との接触を多くし、非定型情報を多く収集し、信頼を得て、あくまで融資で利益を出すようにしている。信用組合は、4業態の中では経費率が最も少ない。その上、有価証券利息配当金が経費よりも多いという特徴がある。 このような経営特徴の中で、共通しているのは「サービスの見直し」がコスト管理や他行との差別化の観点からも重要になってきているということである。また、融資や金融商品の販売を増加させるためには、人的資源(特に渉外担当)をどのように配置し、どのように彼らの質的向上を図るべきか、そして組織をどのようにするのかという戦略によって収益が異なると考えられる。これらの方針の違いをアンケートで把握するようにして、その違いが業績にどのように反映しているのかを分析する予定である。
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