循環型ロジスティックス・チャネルの基本的な論点を整理するために、国内および海外の文献を収集した。それらを読むことによって、研究目的であるロジスティックス・チャネルにおけるガバナンスメカニズムの解明に向けて研究を進めた。この基本的な考え方については、2004年7月にチェコ共和国のプラハで開催された、「第11回小売とサービス科学に関する国際学会(EIRASS)」において研究発表を行った。そのときに、ヨーロッパの参加者からこの方面での研究についても意見を聞くことができ、学会参加の収穫の1つとなった。その後、ロジスティックス・チャネルのうち、食品の廃棄物に関するリバース・チャネル(商品消費後の逆チャネル)について、最初のパイロット調査を行った。1つ目は、福岡県の朝倉町における自治体を中心としたごみのリサイクルに関するヒアリング調査を行った。残念ながら、すでにこのシステムは稼動しておらず、当初の始動期における立ち上げと運用についてのヒアリングに止まった。2つ目は、福島県の岳温泉において、観光協会・旅館協同組合とその廃棄物をリサイクルする國分農場を中心とした環境リサイクルシステムに関するヒアリング調査を実施した。ここでも、当初の立ち上げとその運営に関する問題点について、双方側の実態と考え方をヒアリングすることができた。さらに、ごみを最終的にリサイクルしている國分農場にとって、リサイクルシステムがそこで終わるのではなく、そこで生産される肥料の販売と市場化に関する問題点も明らかになり、本研究の主眼である循環型ロジスティックス・チャネルという考え方の重要性が確認された結果となった。
|