研究課題
基盤研究(C)
本研究では、小売ノウハウ(技術)の国際移転モデルを構築し、その可能性を検討することが目的である。筆者は小売ノウハウの海外移転を考察する視点として、小売ノウハウ(技術依存型ないし管理依1存型)を横軸に、それらを規定する決定要因(文化構造、経済過程、企業内外の諸組織)の依存度合を縦軸にとると、同平面空間で4つのサブ空間が出来上がることを明確にした。このモデルに基づいて小売ノウハウを11グループ・35項目に分類し、韓国と中国小売企業を対象に現地調査を行い、小売ノウハウがどの程度本国から現地市場に移転されているのか、またそのノウハウがどの程度修正され現地に移転可能なのか、あるいは移転不可能なのか、不可能な場合それは何故なのか等について検討した。検証結果から言えば、コンビニエンスストア(CVSと省略)では、マーチャンダイジング(MDと省略)関連・教育関連・文化事業関連の小売ノウハウ、特に文化事業関連の類似度が最も低い。ディスカウントストア(DSと省略)では、MD関連・賃貸関連・文化事業関連の小売ノウハウの類似度が低く、CVSと同様に文化事業が最も低い。韓中の比較視点から言えば、CVSの場合、韓国では店舗関連・MD関連・保管物流関連の小売ノウハウの類似度が高いが、中国では情報システム・教育関連の小売ノウハウの類似度が高い。しかし、中国のDSは賃貸関連を除き、韓国よりも全体的に類似度が高い。このような各国小売ノウハウ間のギャップが生じた理由は、移転モデルから言えば、技術依存型小売ノウハウは、マニュアル化やプログラム化ができる技法であり、それらの諸要素は機械そのものであったり、人間と機械の関係に依存しており、その国の技術レベルに関係しても、その国の人々の文化(価値)からは比較的中立的である。それゆえ、適用化(IV空間)または部分的適用化(I空間)の移転プロセスを採ることになる。それに対し、管理依存型小売ノウハウは、殆どの技法が人間に内在化されており、比較的にマニュアル化やプログラム化ができない。またそれらの諸要素は、人間と機械の関係のみではなく、人間と人間の関係に依存する技法である。しかし、マニュアル化もしくはプログラム化しやすい諸要素であっても、それらを規定する3つの決定要因と深く関係すればするほど移転の可能性が低くなる。いわゆる適応化(H空間)または部分的適応化(II空間)の移転プロセスを採ることになる。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
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