本研究では、地方自治体の環境会計全般について概観した後、その中でも実務的に導入が先行している水道事業の環境会計に絞ってより深く内容の検討を行っている。研究1年目に当たる前年度においては国内の地方自治体(水道事業中心)について研究を進めたので、2年目に当たる本年度においては海外の先進的実態について研究し、内外の比較検討から今後の発展方向を検討する研究計画をたてた。 上記研究計画に沿い、本年度においては海外の文献収集・インターネットによる情報収集を行い、ドイツのフライブルグ、フランスのストラスブールを調査地として選定し、アポイントを取り付けて訪問調査した(具体的には、フライブルグでは市環境局の環境保全対策局長Dr. Woerner氏、環境情報センターのHans-Georg氏と意見交換。ストラスブールでは県環境政策局長Marnot-Houdayer氏、在ストラスブール日本国総領事館富士書記官と意見交換、Bas-Rhin浄水場視察など)。これらの地域では地方自治体における環境保全対策の推進に当たって、総合的な費用対効果の検証を行った上で民間活力の導入が広範囲に行われていることがわかった。これは、わが国の自治体の環境会計の構築・環境施策検証の方向性を検討する上で有意義な示唆であった。 2年問におよぶ調査研究の成果については、その一部を日本会計研究学会全国大会(2005年9月、於・関西大学)で報告するとともに、後掲論文に執筆・掲載した。 上記のとおり、本研究は当初の予定通り順調に進捗した。現在、さらなる調査のとりまとめを行い、引き続き学会発表を行うための準備をしているところである。
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