研究調査 本年度は7月、8月に海外での行財政資料の収集を目的とし調査旅行を実施する一方で、国内の地方自治体をめぐり、自治体財政運営の実態調査ならびに資料収集を実施した。特に10月には財政破綻・財政再建準用団体移行を表明した北海道夕張市を訪れ、経理担当者にインタビューするとともに、市の運営する施設を見学した。この調査に関しては『環境創造第10号』「自治体が財政破綻にいたるまでの分析-赤池町と夕張市の財政分析による比較-」(2007年5月刊行予定)に論文として公表している。 データベースの作成 本研究の主要課題であるバランスシートのデータベース化に関しては、自治体制度が同じ東京都特別区(23区)に関してはすでに完成している。しかし、都道府県レベルでのデータベース化に関しては現在作成中である。この成果については 財政分析・格付け 従来の決算カードで用いられている財政指標(実質収支比率、財政力指数、経常収支比率、公債費比率、起債制限比率、実質公債費比率など)とバランスシートから求められる新たな比率(世代間負担比率、有形固定資産総務費比率、正味財産比率など)との比較・相関性の分析を現在進めている。この分析により、自治体財政の総合評価が可能となる。 最近の動向 地方自治体のバランスシート作成状況は2006年公表では都道府県レベルでは100%市町村レベルで52%となり、初めて過半数となりかなり浸透してきている。しかし「第三世代の方式」といえる連結バランスシートの作成に関しては市町村レベルではわずか4.1%にすぎず、データベース化して比較分析できる状態にはない。今後の進展に期待する。
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