研究課題
基盤研究(C)
このプロジェクトは、1965-2004年の期間における上場企業の大規模なサンプルを利用して、アクルーアルの信頼性(品質)と利益の持続性を調査している。親会社単独利益と株式リターンの関連性の観点からは、利益のアクルーアル部分は、平均して、キャッシュフロー部分に比べて、過大に評価されている。その意味で、利益のアクルーアル部分の信頼性は低い。総アクルーアルを非現金運転資本増分、正味非流動営業資産増分、正味金融資産増分に3区分すると、いずれの情報も、キャッシュフロー部分に比較して過大に評価されている。利益の持続性は年々低下している。非現金運転資本増分と正味非流動営業資産増分の持続性は、それぞれ、キャッシュフロー部分に比べて、平均して低い。持続性の観点からは、非現金運転資本増分と非流動営業資産増分の信頼性は低い。アクルーアルの信頼性の低下は、企業の利益操作に関連するであろう。営業資産、負債の項目を利用した利益操作は、深刻な問題を引きおこしている。会計規制は、財務諸表の最低水準の信頼性を規定するミニマム・スタンダードである。投資家の情報獲得を前提とする市場では、信頼性の高い会計情報は、投資家の情報獲得を促進させるので、効率的な価格形成に貢献する。ただし、政策担当者がより信頼性の高い会計情報を要求するならば、情報コストは社会的に増大する。信頼性の水準はコスト・ベネフィットの観点から決定すべきであろう。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (8件)
M&A Review 19巻・2号
ページ: 9-15
合計 167巻・5号
ページ: 18-33
『会計情報の現代的役割』(石塚博司編)(白桃書房)
ページ: 168-179
M&A Review vol.19, no.2
Kaikei(Accounting) vol.167, no.5
Contemporary Roles of Accounting Information(Hiroshi Ishizuka ed.)(Hakuto Shobo, Tokyo)
『会計制度改革の実証分析』(須田一幸編)(同文舘出版)
ページ: 66-88
Empirical Analysis of Accounting System Revolution(Kazuyuki Suda ed.)(Dobunkan Publishing, Tokyo)