平成14年1月の監査基準の改訂により、平成15年3月決算から監査報告書に特記事項に代えて追記情報が記載されることになった。 本研究課題の目的は追記情報の開示実態を明らかにし、問題点を明らかにすることにある。証券取引法適用会社を対象に3回の調査を試みたが、今回は4年目の開示実態を明らかにすることにあった。今年度の特色は、減損会計の適用(会計基準等の改正として追記情報の記載対象になる)と追記情報の1つであるゴーイング・コンサーンの前提に関する重要な疑義が減少しているのか否かを調べることことにあった。 1、減損会計は早々期、早期が認められており、平成18年決算は強制適用になる。早々期、早期、強制適用については、上場証券市場別、適用業種別により減損会計基準の適用実態が異なることを明らかにした。ここまでの記述は会計の問題であるが、減損会計基準の適用は、規定上、会計方針の変更として追記情報になる。平成18年決算の調査では減損損失計上額の多寡と追記情報の記載については関係があることが判明した。 2、ゴーイング・コンサーンに関する追記情報は減少しているのであろうか。今後、どのようなことが問題になるのであろうか。今回の調査はこれも問題にした。上場会社と新興市場・非上場会社では、年次開示件数での傾向が異なることが判明した。また、記載原因については、債務超過が激減しており、他方損益データ・営業キャッシュフロー(その組合せ)が増加し、これは何時の時点で被監査会社で注記記載するか、監査人側では追記情報を記載するかという問題を発生させるものである。、芝
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