1)連結決算の対象となっている子会社・関連会社の中には、出資者間で合弁契約書を締結しているJVが予想以上に多い。とくに商社ではそうである。企業では、JVについては損益のみならず、資産負債の出資比率相当額(合弁契約による責任部分)を子会社並みに管理している。それにもかかわらず、開示上は持分法適用により資産負債責任額はオフバランスとなっている。わが国の連結財務諸表制度ではJVは関連会社として扱われるためである。JVの開示の貧困は、JVの客観的実証研究を著しく困難にしている。JVの先行研究も少なく、欧州に比し立ち遅れている。 2)欧州ではJVに比例連結の適用を勧める国際会計基準の適用が始まった。とくにドイツでは従来から商法が比例連結によるJVの開示を勧めていることもあり、JV会計の研究が盛んである。その理由は企業提携と共同支配概念の定着である。 3)タイに進出しているわが国企業数は7千社を超え、現地外資法により、または当局の窓口指導により、現地資本とのJVが非常に多い。しかし、合弁の建前は共同支配であっても、事実上日本側が支配し、合弁契約は利権を守る手段と化している。 4)研究成果の一部は、論文・単著「JVの形成と連結に関する会計手法と基礎概念」として立命館大学『社会システム研究』第11号(2005年9月発行)に発表した。また、日本会計研究学会(2005年9月)では自由論題として報告した。
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