研究課題
本年度は前年度の成果を踏まえて、ロスを顕在化させ、そのロスを削減するというマテリアルフローコスト会計(以下、MFCAと記す)において、環境性能を向上させた場合に付加価値を生み出すこととなるような情報発信を可能とするためのシステム設計を試みた。また、システム設計をするためのモデルを構築するために、前年度調査した企業の中で、環境配慮型製品もしくは環境配慮型製造を積極的に実践している企業を選定し、基本(見本)となる企業システムを調査企業から作り出すことに努めた。さらにこのグループに該当する企業において、どのように環境配慮を意思決定の重要項目として評価に入れ込んでいるかについて調査した。たとえば、MFCAを導入している企業においては、MFCAによって得た情報は無駄なコストの情報であり、それを削減するということだけではなく、環境性能を向上させることへの支援情報としてどのように使われているのか、またはどのようにすればその目的を有用に果たすことが出来るようになるかを企業の協力のもと調査・研究することができた。また、MFCAを導入せず、環境性能を向上させるようにインセンティブを与えている企業に対しては、そのシステムがどのようなシステムであり、どのように有用で、更にはMFCAとの相違は何かを工場調査などを通して研究した。このような一連の調査研究により、環境性の向上と経済性の向上を同時に達成するようなインセンティブ情報を作り出し、発信する環境管理会計ツールのモデルを導き出し、資源生産性を向上させコストダウンを達成するのに有用なツールであるMFCAとの統合を試みることができた。また、このような成果をヨーロッパ(ドイツ)や中国で発表または情報交換することによって、今後の国際的共同研究の基礎作りを進めることができた。
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Kansai University Review of Business an Commerce No.8
ページ: 1-22
環境管理((社)産業環境管理協会) Vol.41, No.11
ページ: 73-78