今年度の主要な課題は、災害救援組織の基礎的研究である。 昨年度の現地実態調査で明らかになったように、2000年9月の東海豪雨災害においては、その際に「自主防災組織」の責任者から明らかにされた、いわゆる新興宗教団体(江戸時代に成立し、全国的な広がりを持つもので、近畿地方にその本拠がある)による、救援活動について、その活動の実態と、その宗教における教義と宗教的組織・活動理念について、教団本部において聞き取り様さ及び資料収集を実施した。 以下、その調査結果の概要である。 ・宗教団体の救援組織名・「ひのきしん隊」:「ひのきしん」とは「日々の奉仕」の意味であり、奉仕ではあるが特別の活動ではないという教義上の意味づけがある。 ・活動内容は、被災地域の廃棄物処理・搬出が主要なものであり、当初予想した多面的活動ではなかった。 ・活動内容と地域の決定は、ひのきしん隊と地元地方自治体や被災地現場責任者との間で決定されること。 ・ひのきしん隊の編成過程については、同隊が常設の組織ではないが教団本部に事務局があり、被災地からの要請、あるいは被災地とその周辺の教団信徒空の情報提供に基づき隊の派遣が決定されることが明らかになった。 その他、本研究の課題としてはこうした活動が行政機関の公式な記録に必ずしも、記載されていないこと等、地元での評価を調査・分析する必要が明らかになった。この点は今後の研究課題とする。
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