今年度は3年計画の最終年度であり、『研究成果報告書』の作成が目的であるので、そのために必要な、これまでの資料の補充を行い、報告書の完成に集中した。 1.16年度に祁答院町のアンケート調査と聞き取り調査を行ったが、その補足調査を行った。 2.17年度に西之表市のアンケート調査と聞き取り調査を行ったが、その補足調査を行った。 3.両地域を検討するために必要な集落カードなどの資料を購入し、分析、検討を行った。 4.これまでに収集した資料の不足箇所を補充したり、データーをより見やすくするために、データーの整理に努めた。 地域には特有の生活様式がある。調査地の象徴的な一例を挙げると、西之表市のある種子島では、「付け乗りのできるタクシー」があるし、正社員であることをやめて、大都市等からサーファーとして300人程度の若者が移住してきている。「公共料金だけあれば生活できる」という、地域特有の人間関係がある。 鹿児島県は、西之表市(離島)も、祁答院町も、あるいはその他の地方であっても、若者の出生率は大都市と比べても、また全国的にも高い。それは単に意識の問題だけではなく、地域が固有の生活様式をもっており、そのことが若者の生活様式として、子供を産むという行為を容易にしていることが分かった。地域の生活構造が若者の行為に重要な影響を及ぼしている。西之表市においても、祁答院町においても、地域の生活構造、具体的には、地域の社会心理、地域の連帯、地域の役割、地域の階層構造が、相対的に穏やかであり、そのことが若者の生活様式を強く特徴づけており、またそれが子供を産むという行為と相関している。 数量的データに基づいて、地域の生活様式を明らかにした。
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