研究概要 |
今年度は,西尾市における県営Z住宅に居住するブラジル籍住民に対するアンケート調査(18歳以上の悉皆調査)を行い,これまでの研究で行ってきた他の県営X/Y住宅での調査結果と比較検討を行った。さらに,西尾市の事例を,日本人住民と外国籍住民が大きな摩擦なく生活をしている一つの成功例としての位置づけをし,その要因を仮説的に抽出するために,静岡県浜松市・焼津市および愛知県豊田市の事例との比較検討を行った。この成果は,2004年11月20日に熊本大学において行われた日本社会学会大会の一般報告にて口頭発表をおこなっている。要約すると,Z住宅においても,X/Y住宅同様に,ブラジル籍住民たちが,地域社会のルールに従って生活しようとしている様子がアンケートから浮かびあがった。そして,このような成功の要因としては,(1)リーダーの存在(2)西尾市における市民活動やボランティア活動グループの緩やかなネットワークの存在,(3)西尾市の都市規模などをあげることができることを報告した。 また,県営Y住宅に居住するブラジル籍住民が中心になって開催している様々な行事に参加し,参与観察をおこなってきた。この結果については,現在分析中である。また,ブラジル籍住民たちの生活史調査にも着手した。詳細な生活史の記録から,日本定住を「成功」に導く要因の析出,日本人との民族関係,日本社会への適応の過程などを分析する予定である。 さらには,西尾市民800名を対象に行った「地域の国際化に関するアンケート」調査も行った。今後,西尾市の日本人住民が,外国籍住民の受け入れにどのような態度/意識をもっているかについての分析も行う予定である。
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