研究概要 |
メディアで表象される特定の空間が一体どのような空間として再構築されているのか,そして再構築された観光空間をツーリストがいかに知覚しているのか,こういった観光地をめぐってはたらく表象の力学を解明する作業を精緻に行っていくことが,社会学の重要な課題となっている.本研究では関西圏の観光地を事例としながら,活字・映像両メディアどちらにおいても,観光メディアのディスクールに働いている力学について,単に「テクスト論」的なアプローチを行うだけでなく,その背景として存在する社会性・歴史性を解明するアプローチなど,多様な学術的ディシプリンを横断し包括的・多面的に分析している. 研究の方法としては,各メディアのディスクール研究,観光業者・行政等の観光制作者への聞き取り調査,ツーリストに対する調査という3つの要素に分かれる. 平成16年度には,メディアのディスクール研究と観光制作者への聞き取り調査を進めた。メディアのディスクール研究においては,多様な学問的ディシプリンから,観光地をめぐるメディアのディスクールが,どのような利害=関心のもとに,何を表現し何を隠蔽している(してきた)のかを明らかにすることを目指した. 平成17年度では,前年度に行った観光制作者への聞き取り調査を継続して行いつつ,主としてツーリストに対する調査を行った.ツーリストに対する質問紙調査に関して必要な調査設計を行った後,調査の実施に向け準備をすすめ,調査を実施した.現在は調査データを整理し,データ分析をすすめているが,ここでは、考察の対象としている観光地をツーリストがどのように知覚しているのか、またメディア・テクストをいかに「読解」しているのかといった≪読解のプロセス≫を考察することを目的としている.
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