本研究は、グローバル市民社会(transnational/global civil society)がいかなる姿で存在するのか、またその「グローバル性」とはいかなる様態を示すものなのかについて、グローバルな反戦運動を用いて検討し、また理解を深めることを目的とする。 1、本研究は以下のアプローチを通して遂行された。 (1)国際比較研究:2003-2004年のイラク戦争反対運動調査に際して、国際比較研究プロジェクトを組み、質問紙調査を行い、結果を分析する。 (2)国内時代比較研究:史資料を用いた日本の平和運動の時代比較を通して、時代間の運動の異同を分析する。これに付随して、現代日本の平和運動の実態を参加者の動機付けの観点から分析する。 2、本研究の成果を以下に要約する。 (1)グローバル市民社会は、ローカルかつ特殊歴史的な動機付けからグローバルで普遍的な動機付けまで、いくつかの相反するベクトルを抱えながら存在するという知見が得られたこと。 (2)理論的・方法論的レベルでは、社会運動が市民社会論の発展に貢献する仕方を理論的に跡付けることが出来、また方法論的には、グローバリゼーションのもとでの比較研究がいかに行われるべきかについて提案をおこなうことができたこと。 (3)グローバリゼーションそのものについて理論的考察を進められたことである。 3、研究成果の公表は以下のように行われた。 (1)論文7本(平成16年〜平成19年)。 (2)口頭発表など6本(平成16年〜平成19年)。内訳=国内研究発表1本、国外研究発表5本。 (3)編著書2本(平成16年〜平成18年)
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