平成17年度における調査研究の概要と成果を以下に述べる。 昨年度に引き続き、仙台市近郊を中心に伝統的宗教習俗と新旧教団宗教の重層性関係に関する実態調査を行った。 既に基礎的な地域データは整いつつあったが、収集しきれていなかった文書資料、聴き取りによる情報収集が残っていた。これを全て当たりつくすことを目的に本年度の調査が開始された。実施調査によって、伝統的宗教習俗の残存が観察される伝統的近隣集団の取り決めに関する文書資料の収集に成功し、また、宗教講への参与観察も行われた。これまでの調査で形成されたラポールが遺憾なく発揮されたといえよう。 また、既成仏教教団における、寺檀関係の諸相を突き止めるべく葬儀社への調査も行われた。収集された資料から、「旧檀家」と対比される「新檀家」の寺檀関係取り結びのきっかけが明確に判明した。 さらに、新教団宗教の調査としては、立正佼成会の中間役職者への聴き取り調査がなされた。教団が信者を教導するプロセスや、地域社会への対応として如何なる対応をしているのかについて、中間役職者の日常行動からの分析が可能となった調査であった。 以上のような調査結果を集約すべく、研究補助者(研究代表者が指導する大学院生)等とデータの整理・分析を行った。その結果、伝統的宗教習俗と既成仏教教団の関係、伝統的宗教習俗と新宗教との関係、そしき、既成仏教と新宗教との関係がまとめられ、それらは、重層的に複雑に関係していることが判明した。以上の具体的な成果は、研究報告書に詳細にまとめれられている。 本調査は、地域社会の方々、並びに、教団関係者の方々とのラポールがなければ実施できない性質のものである。本年度をもって調査は一区切りを迎えるが、調査対象者との信頼関係を維持していくことは言うまでもない。 以上
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