同化と統合に果たす石原慎太郎氏のイメージを「リソース」として捉え、それを3回の調査結果により再構成をした。平成16年度実施の東京都内7地区6300人対象(回収率19.62%)の調査から、過去平成12年度の結果以上に、年齢層が高くなるにつれ、石原氏自身への支持率が高くなる傾向が顕著であることを再確認した。過去のデータでは団塊世代が、前青島知事に比較的強い支持傾向を示し、石原氏には反指示の傾向を示していたが、平成16年度のそれではそうした特徴は見られなかった。 このデータを多角的に検討するために、逗子での調査も実施した。逗子はかつての市民運動を生んだ市民自治の地でもあり、その記憶リソースが、その時代以前の石原慎太郎・裕次郎イメージとどのように重なり合うか、また現在、米軍住宅追加建設問題が発生しているが、なぜ市民運動が再燃する可能性がないのか、なぜ現市長は石原慎太郎氏を強く支持するのかなどを主題に、石原慎太郎イメージにある「ポピュリズム性」が、地方政治においてもひとつのリソースとして用いられることを確認した(平成17年度に実施した逗子市・横浜市金沢区2400人対象(回収率22.%))。市民自治が、一種プロフェッショナル化していることを再構成した(平成17年10月法政大学開催の日本社会学会で報告)。 これらを踏まえつつ、イメージについてより一般化するために、多変量解析を行う調査票を作成して、平成17年度東京都内4地区4800人対象(回収率22.17%)で調査を実施。石原慎太郎イメージについて主因子分析により3種類のイメージ因子、また自由記述回答の分析からも別の3種類のイメージ因子を導き、投票行動における好感・嫌悪、および映画体験・同世代体験、外国人への受容態度について基本データを得た(論文「ポピュリズムの分解」(平成18年『早稲田大学文学研究科紀要』掲載予定))。
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