平成17年度は、スウェーデンストックホルム市とマルメ市で現地調査を実施するとともに、関係諸機関で各種研究資料を入手した。また関係の専門家から研究の助言をえた。 政府関係では、厚生省担当者の話を聞き、政府のホームレス自立支援政策とくに政府交付補助金の話を聞き、また現在取りまとめ中のスウェーデンのホームレス実態調査についてうかがい関係資料を入手した。ストックホルム市ではホームレス統計担当の専門職員の話をうかがい、資料を収集した。また、スウェーデンテレビでは、ストックホルム市におけるホームレスの実態について製作されたドキュメントビデオを入手した。 次に、ホームレス支援のNPOでは、ストックホルム市で販売されている最大の月刊誌「Situation」編集部を尋ね、資料を収集した。また、ストックホルム市郊外でホームレス、薬物依存、アルコール依存の人々のための自立支援ホームを運営するNPOである、「Vasta」を尋ね、現在スウェーデンでいちばん注目されているこの施設の運営についてヒアリング調査を実施した。一方、ストックホルム大学のジェンダー研究センターを訪問し、スウェーデンにおける女性ホームレスの研究について、資料の提供ならびに助言をえた。 マルメ市では、市内の路上生活者の状況を調査し、マルメ市役所社会福祉ホームレス担当のソーシャルワーカーの話を聞き、資料を収集した。 スウェーデンでもこの新しい福祉に問題については、NPOの活躍が目立ち、政府もソーシャル・インクルージョンやインテグレーションという理念で支援の政策を打ち出そうとしている。この点は、日本の現在の動向とも比較することが有効なので、年間を通じて東京の状況と比較するとともに、大阪や北九州でも比較のための調査を実施した。 以上の調査研究全般について、成果報告書を作成中であり、成果の一部は今後学会等で発表する予定である。
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