ホームレス自立支援システムについて、日本との比較においてスウェーデンを調査研究した。スウェーデンのホームレスの状況について、現地関係機関のヒアリングを実施し、関連NPO団体、支援団体を訪問し、またスウェーデンの大学関係者を訪問し議論をするとともに、スウェーデンに住む日系人からスウェーデンの社会福祉制度の状や生活状況についてヒアリングを行った。また、大都市部の路上でみかけるホームレス者の動向を観察するとともに、少しではあるが話をうかがうことができた。 スウェーデンでは、ちょうど2005年に三回目の全国調査を実施し、また、2002年から2005年の政府支援のプロジェクトの自己点検評価も行っていた。そうした動向を的確に踏まえつつ、EU諸国の中でも、ソーシャルインクルージョンについて積極的に取り組んでいるスウェーデンの取り組みと課題をつかもうとつとめた。 その一方で、比較の意味で、野宿者(路上生活者)の自立支援システムの観点で、東京23区・東京都、神奈川県横浜市、川崎市、大阪府・大阪市、福岡県北九州市などの動向を調査し、それぞれの自治体が取り組んでいる実態を調査した。また、それぞれの自治体のもつ独自性・特徴ならびに自立支援システム構築への課題を把握した。 こうした中で、ソーシャルインクルージョンという視点で、野宿者が社会の中に受け入れられていくためには、社会の中に、官民のソーシャルワーカーを配置することが重要である点を再確認した。スウェーデンの研究分析は私にとってまだ、未分析の点が多い。研究助成を受け、たくさんの情報を収集し、現地でのネットワークを作った成果を今後さらに活かし、研究を総合化していきたい。
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