研究課題/領域番号 |
16530354
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
高橋 伸一 佛教大学, 社会学部, 教授 (80154821)
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研究分担者 |
若林 良和 愛媛大学, 農学部, 教授 (10201146)
吉田 秀和 龍谷大学, 社会学部, 講師 (10298739)
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キーワード | 社会移動 / 職業移動 / 不安定就労 / 低所得者層 / 高齢社会 / 生活ネットワーク / 社会的ネットワーク |
研究概要 |
本研究は、社会移動にあたって生活主体者の生活を支える社会的ネットワークの存在と有効性のある生活ネットワークの形成プロセスを明らかにすることにある。すでに、元炭鉱離職者を調査対象とした経年的量的データおよび質的データの分析結果により、生活ネットワークの存在と有効性を検証している。しかしながら、全国に散った離職者の追跡データには、その性質上社会的に生活の余裕のある層が抽出された観がある。そこで、本研究の対象者を上記分析対象から外れていた層までに拡大するとともに、新たな対象をその主とした分析データとすることにした。 研究初年度の課題は、この新たな対象のうち旧産炭地域の低所得者層、特に旧炭住の改良住宅に居住する層および炭鉱労働経験のある地付き住民層へアプローチすることであった。この両層は、社会移動の有無や社会的ネットワークの量によるネットワークの相違を検出可能であろうという仮説から出発している。対象地域は、筑豊炭田において最後の坑内掘りとなった炭鉱を操業していた地場資本の貝島炭鉱のあった福岡県宮田町である。当地域には、周辺の中小零細炭鉱からの坑夫の最終的な滞留を予測されたこと、鉱害対策事業が最終年度まで継続されていたこと、そしてこれまでの蓄積データの活用できることから選出された。調査対象獲得には、本年度の現地調査が4度実施された。そして、下記の調査概要が次年度に繋がる本年度の研究成果(実績)である。 最初の夏期調査の時点では、対象地域において主に低所得者層関連の行政資料を収集するとともに、現地民生委員の協力と生活保護費受給者宅を訪問して、地域の全体像の把握と被保護層の生活現状の把握に努めた。次に、秋期調査には、夏期のデータをもとに同地域において公営住宅居住者、および地付き住民への聞き取りにより生活圏、社会圏の把握、観察をすすめるとともに質的データ獲得のため被調査者の社会的ネットワークデータの獲得を中心に実施した。冬期の2度の調査では、対象地域内の全公営住宅(15団地1222戸)の概要、地付き調査対象者のさらなる掘り起こし(獲得)および市町村合併予定行政との関係について詳細なデータが獲得できた。
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