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2005 年度 実績報告書

アメリカ人の日本観--ルーツとしての『菊と刀』

研究課題

研究課題/領域番号 16530356
研究機関龍谷大学

研究代表者

PAULINE Kent  龍谷大学, 国際文化学部, 助教授 (00288648)

キーワードルース・ベネディクト / 菊と刀 / 文化人類学 / イメージ / 日本研究 / 人種の違い
研究概要

ルース・ベネディクトは、戦時中に『菊と刀』を著した時、戦後における日本の新たな国際的位置づけを考えながら日本社会の特徴について述べた。アメリカにおいては、戦時中のプロパガンダによって、日本人に好戦的な国民とのレッテルがはられ、非人間的なイメージが強くなった。しかし、実は戦前からこのようなイメージは雑誌や新聞報道によってある程度確立されていたために、ベネディクトは、日本人に関するステレオタイプを砕きながら、そのイメージを戦略的に作り直す必要があった。
本研究では、日本の開国後におけるアメリカの主流の雑誌やニューヨークタイムズに掲載された記事のなかで形成された日本人のイメージをピックアップし、なぜベネディクトがそこまで戦略的に日本社会の説明をする必要があったのかを探ることを目標としている。
記事の分析を通じて、開国直後には日本人曲芸師についての記述が目立ち、日本人を軽くみる傾向がある。小柄で人種としてか弱く、また中国人と比べて劣っているとの記述が多い。たとえば、商業に関して中国人には伝統があり貿易相手としてふさわしいイメージに対して、日本人は遊びや芸術が得意であるものの、まじめに相手にすることはないだろうという述べ方が見られる。さらに珍妙な習慣等に関するスケッチが多く、逆に政治・経済の面を見過ごしている。やがて領土拡大や戦争によって、風変わりな日本人のイメージと、軍事的脅威のイメージが並行してでき上がる。これらの背景には「人種の違い」が一つのテーマとして流れており、人種差別主義について研究と教育活動をしていたベネディクトが、イメージ形成への影響を意識し、意図的に日本人に対するイメージと意識変化を『菊と刀』において目指していたと考えられる。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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