平成15年度に発表した「戦後ユース・サブカルチャーについて(1):太陽族からみゆき族へ」(『関西学院大学社会学部紀要』96)に引き続き、本研究期間中に「戦後ユース・サブカルチャーをめぐって(5):コギャルと裏原系」(『関西学院大学社会学部紀要』100)までの計5本のシリーズ論文と、それに関連する研究ノート計4本を紀要に発表した。これらに平成15年度に発表した「ユース・サブカルチャー研究における状況的パースペクティブ」(『関西学院大学社会学部紀要』95)や「ユース・サブカルチャーズの国際比較のために」(文部科学省21世紀COEプログラム研究報告書r国際比較研究のフロンティア』)の内容を加味し、今回別添報告書をまとめている。 本研究は、日本におけるユース・サブカルチャーズ研究進展のための用語体系(タロミノロジー)、や方法論(メソドロジー)の検討・整備とともに、史資料の集積とそれにもとづく具体的な分析を目ざしたものであった。一応の理論的検討と通史的な記述を終えたので、今後は、今回提出した報告書の内容を一書にまとめ、公刊する作業の中で、理論と分析との統合をはかり、この2年間で得た知見である「70年代後半に若者文化のみならず、日本社会の大きな画期があった」との主張を、より説得的に提示していきたい。またこの2年間の成果は、国際日本文化研究センター共同研究員として参加した「コマーシャル映像にみる物質文化と情報文化」(代表山田奨治氏、平成15〜17年度)、研究分担者として参加した科学研究費補助金(基盤研究(C))「テレビ文化のメディア史的考察」(研究代表者・長谷正人氏、平成16〜17年度)などの研究成果を公刊していく作業や、現在研究分担者として参加している科学研究費補助金(基盤研究(C))「地方博覧会の文化史的研究」(研究代表者・柴田哲雄氏、平成17〜19年度)などの共同研究に反映させていきたい。
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