当年度は、研究期間の初年度ということもあり、研究の基礎的作業ないしは予備的作業に専念した。一つは、熊本県山鹿市、同牛深市など主たるフィールドに予定している地域の行政、マスコミ、住民等への研究着手の挨拶と研究協力の依頼をするとともに、地域文化とそこへの老人たちの関与についての簡単な現地調査を行った。 また、それぞれの地域文化の動向と「老人たちの元気」の実態についての広範囲な情報を得るため、研究協力者の助力を得て、地元新聞の詳細な記事検索と地元テレビ放送の録画等、基礎資料の収集及び整理の作業を精力的に行った。この過程で得られたデータは、次年度に予定している本格的で集中的な現地実態調査にとって有力な指針を提供してくれるものと期待している。 さらに、当研究が完遂された後に予定している本研究テーマに即した国際比較研究の手がかりを得るために、フランス・カマルグ地方の地域の祭りとそこへの住民参加についての現地調査を行った。これは、国内での地域イベントで見られるものとはまた違った地域文化のあり方に示唆を与えるもので、きわめて興味深く、有益な体験であった。 もちろん、当初主要なフィールドに予定していた宮崎県南郷村や佐賀県唐津市の研究が文献及び公共放送提供のテレビ番組等の収集にとどまるなど、いくつかの課題も残った。しかし、これら積み残した課題を克服するのに大きな障害は考えられず、総じて研究の進捗状況は順調であって、次年度以降の研究遂行に当たっての懸念材料は何もない。 以上。
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