【目的】ユニットケアスタッフの経験年数がもつケアへの有効性について示唆を得る事を目的に、特別養護老人ホームにおけるケアスタッフの介護職経験年数からユニットケアの特性を検討した。その1つの手がかりとして、ユニット型と既存型ケアスタッフの適応状況と実際のケア状況について、経験年数を軸に比較分析することで上記目的へのアプローチを行った。 【方法】研究方法は、質問紙とタイムスタディ法を用いた。質問紙の対象は、既存型特別養護老人ホームのケアスタッフ22人とユニット型特別養護老人ホームのケアスタッフ36人である。また、タイムスタディは、同施設の同意が得られたケアスタッフ既存型8人とユニット型8人の計16人である。 【結果】質問紙調査の結果として、ユニット型における経験の少ないケアスタッフは、経験が多いスタッフよりも利用者とのストレスが有意に高いという結果が示された。しかし、既存型の場合の経験年数による差は見られなかった。 タイムスタディの分析の結果、ユニット型のケアスタッフは、既存型に比べて利用者の居室とリビングを頻繁に出入りしながらケアを行っており、出入り回数に有意な差が見られた。さらにユニット型の経験が多いスタッフは経験が少ないスタッフに比較して1回あたりの利用者居室ケア時間が有意に長いことが示されたが、既存型における有意な差は認められなかった。 【まとめ】本研究は、特別養護老人ホームケアスタッフの経験年数に注目し、質問紙とタイムスタディ法を用いてユニットケアの特性を明らかにしようとした。今後、対象の拡大により、ユニットケアにおける経験年数の意味づけがさらに明確になるものと考えられる。また、今後の課題として、ユニットケアにおける経験内容の意味やケア内容に関する研究、ユニットケアにおける効果評価研究が急務と考えられる。
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