研究概要 |
本研究は,主に統合失調症(精神分裂病)を念頭にした精神障害者を対象とし,地域生活支援を実現する住居確保に焦点を絞ったものである.精神障害者地域生活支援センターは,地域で生活している精神障害者の相談に応じ,必要な指導及び助言を行うと同時に,他機関・施設などとの連絡調整を総合的に行っており,精神障害者が各種の福祉サービスを利用する際の窓口的機能を果たしている.住居確保もその重要な機能である.そこで,地域生活支援センターにおける住居確保に関する事例をデータ収集し,質的研究法の一つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチによる解明をおこない,地域生活支援センターに配属されている精神保健福祉士による住居確保の内容や方法などの実践理論を生成し,精神障害者の地域生活支援に関与する専門職たちの共通認識を確立することを目的としている. 平成17年度は,平成16年度に引き続き,精神障害者地域生活支援センターで精神保健福祉士がおこなっている住居確保に関する事例の収集をおこなった.比較的歴史があり,先駆的な活動を続けている地域生活支援センターには地域生活支援の具体的な実践例があるので,いくつかの地域生活支援センターを訪問し,住居確保に関する事例を収集した.研究代表者が質的インタビューを実施した.収集したデータについてはトランスクリプトを作成し,ベースデータの一部として分析し始めている.分析法として,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを採用し,理論的サンプリングと継続的比較分析法によって,データに密着した分析,分析とデータ収集との並行作業をおこなっている.平成18年度は,今年度に引き続きデータの収集と分析をおこない,最終的なグラウンデッド・セオリー(分析結果)を提示する予定である.
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