研究概要 |
精神障害者の住居を確保・維持し,地域生活支援をおこなっている生活訓練施設と地域生活支援センターに所属する精神保健福祉士(PSW)を対象に,質的インタビュー調査を実施した.質的調査法の一つである修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによって分析をおこなったが,地域生活支援センターに所属するPSWの住居確保・維持活動については,理論的飽和化までには至らなかった(地域生活支援センターのPSWがおこなう支援の期限・内容・方法などの枠組みが収集したデータから明確にならなかった.反対に,最長3年間という利用期限を有する生活訓練施設は支援の期限や目的などが明白になった).したがって生活訓練施設に所属するPSWから得られたデータに限定して分析結果を提示した.なおその分析結果をストーリーライン(《 》をコアカテゴリー,< >をカテゴリーとする)で示すと,以下となる. 「精神障害者生活訓練施設(以下,施設)に所属する精神保健福祉士(PSW)が利用者(退所後の利用者も含む)の住居を確保・維持するために,最長3年間という利用期限を常に意識しつつ,《利用者志向の援助》と《住環境の構築・維持》という働きかけをおこなう.これには<施設から地域へ志向していくPSW>が影響している. 《利用者志向の援助》とは,施設入所から退所を経て,地域で生活する利用者に向けられた種々の働きかけである.その働きかけには,利用中の問題に向き合う<個別の直接援助>と退所後に地域で起こる問題への<あいだに立つ援助>がある. 《住環境の構築・維持》とは,利用者が地域で生活していくために必要不可欠な住まいを確保し,住み続けるために必要な環境を構築していくための働きかけを意味する.その働きかけには,住むところを作る<資源開発>とそのための<関係者調整>がある.」
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