研究概要 |
本研究を通して以下の点が明らかとなった. 1.福岡県下の市町村教育委員会及び小中学校に対する学校ソーシャルワーカー配置に向けた調査研究結果 学校は関係機関との連携の必要性を高く望んでいるが,教員の業務多忙のために連携会議の日程や調整が困難であり,どのような機関があるかもよく知らないことが見出された.この結果より,わが国では学校と関係機関をつなぐ調整役として,学校ソーシャルワーカーの必要性が高いことが見出された. 2.「スクールソーシャルワーカー派遣事業」に関する聞き取り調査研究結果 兵庫県赤穂市・香川県・大阪府教育委員会では,学校と関係機関をつなぐ調整役の必要性より「スクールソーシャルワーカー派遣事業」を実施している.赤穂市は1名,香川県は7名,大阪府は7名のスクールソーシャルワーカーが学校に派遣され,学校と関係機関の調整役としての役割任務で活躍している 3.京都市教育委員会「旧・生徒福祉課」の歴史調査研究結果 「旧・生徒福祉課」は1962年に生徒福祉主事5名を配置し,欠食児童や長欠児童,非行児童に対しソーシャルワーク支援を展開していた.しかし,組織改編とともに生徒福祉課は消滅するが,学校へのソーシャルワーク支援の制度化の鍵は教育委員会の理解が不可欠であることが見出された. 4.カナダ・トロント市教育委員会での学校ソーシャルワーカーの調査研究結果 トロント市教育委員会,小・中・高校の学校ソーシャルワーカー,トロント大学大学院,児童虐待防止センターでの業務聞き取り調査より,学校と関係機関の連携役・調整役として学校ソーシャルワーカーが不可欠な役割として制度的に位置づけられており,その専門性の高さを維持するために専門職大学院で人材養成がシステムとして図られている現状が見出された.
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