本研究は、婦人保護施設利用者の特性の変化を明らかにし、併せて利用者への自立支援のあり方を研究するものである。利用者の特性の変化については、1、都内のある婦人保護施設に通っての参与観察、2、全国の婦人相談所(婦人保護施設入所者は婦人相談所を通しての入所となっている)の事業概況を取り寄せ、相談内容、相談件数、相談者の年齢等の統計および年度ごとの推移から分析を試みる。 自立支援のあり方については、3、参与観察と平行してインタビュー調査を行い、退所時および退所後の利用者のニーズを把握する。主な概要は、以下のとおり。 1、の参与観察は施設内にある作業場にて利用者とともに作業を行いながら、利用者の知的レベル、性格傾向、作業能力などの特性を観察、利用要因も含めこれまで行ってきた調査結果との変化を比較中である。DV法前後から利用者の低年齢化がすすみ、精神障害や知的障害のみられない利用者が増加しているが、利用要因にも変化がみられている。 2、全国の婦人相談所に実績報告書の送付を依頼し、相談者の年齢、相談内容、相談件数の統計を行った。相談件数は多くの県で増加しており、相談内容にも変化がみられた。これらの項目に対しての分析、考察は来年度に持ち越しとなったが、婦人保護施設の実績についても統計を企画中である。 3、インタビュー調査に関しては施設側(利用者)とのスケジュールが合わず、退所者との信頼関係の構築にとどまった。今後、座談会形式でのインタビューを計画中である。
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