研究概要 |
今年度は、福祉現場で実践に携わっている経験10年以上のソーシャルワーカー、5人のワーキング・グループで、福祉専門職が実際にぶつかる「権利」の問題を整理した。時間を区切って、実践場面において権利を意識した場面をカードに記入してもらい、その内容を分類・整理する作業を行った。結果として、最も多かったのがサービス提供側のシステムにかかわる項目で30(24.8%)次が情報にかかわる項目で29(24.0%),次いで,金銭に関する項目12(9.9%),ワーカー自身が受けた権利侵害,権利の行使や制限積極的行使,権利の制限,接遇,法制度,倫理、虐待といった内容があがってきた。その結果と照合する目的で、日常業務の中で、権利を意識した状況に関するアンケートを200名程度に実施しており、現在分析中である。この調査は来年度に実施する量的調査のプレ・テストとして位置づけている。 昨今、介護保険制度の見直し、障害者自立支援給付法(案)が検討されており、サービス契約を結ぶ上でのシステムやアクセスの問題、情報の扱い方などが「権利」をめぐる重要な課題である考えている。 判断能力が不十分な障害者や痴呆性高齢者などのサービス契約における自己決定の問題、そのプロセスを福祉専門職がどう支援するのかということ、サービスの標準化と個別化のバランスに作用する専門職の裁量の問題を含め、来年度も調査・研究を継続して行く予定である。
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