研究概要 |
本研究は、社会福祉系大学での「ターミナルケア教育とグリーフケア教育」の教育実態および授業効果を明らかにする研究であった。同時に海外の、韓国のターミナルケア教育カリキュラムおよびホスピスの調査と、米国とカナダでの在宅ターミナルケアシステムの調査を行った。わが国の社会福祉系大学における「ターミナルケア教育」は、独立した科目で行っている大学はほとんどなく、介護概論や老人福祉論でふれる程度であった。こうした中で、A大学の「ターミナルケアおよびグリーフケア」の授業を内容分析した結果、福祉現場の実習教育で求められる「人間の理解」、また、人の生から死までの宗教的、哲学的、心理的、社会的及び身体的側面の幅広い専門知識を身にっけるための、基礎的教科として、教育効果があることが明らかとなった。一方、韓国における「ターミナルケア教育」の実態は,系統だったカリキュラムは看護系大学が一校だけで,医療系大学においても必要性が端緒についたばかりであり,社会福祉系大学においてはまったくふれられてはいなかった。米国、カナダにおける在宅ターミナルケアシステムの知見は、わが国の<地域包括支援システム>を先行しているものとして参考になるものである。
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