(1)平成16年度は、前年度に作製し、9施設・3個人で稼働しでいる『子ども自立支援計画策定サポートシステム・Ver.3』の試行状況を検証し、『同サポートシステム(普及版)』の作製に向け、必要となるシステムの変更箇所について聞き取り調査を行った。 (2)本システムの導入に際し、児童養護施設が直面している実践解題を以下のように取りまとめた。 1)子どもや親権者の意向を反映させた施設ケアを如何に展開するか。 2)実際に取り組んでいる施設ケアの説明責任を如何に果たすか。 3)施設ケアの過程に児童相談所、他の児童養護施設、他の専門職との連携を如何に構築するか。 4)施設内スタッフとの円滑なチームワークを如何に推進するか。 (3)平成17年度は、平成16年度に作製した「Ver.4」「Ver.4.1」、平成17年度に作製した「Ver.5.0」「Ver.5.1」による試行の成果を踏まえ、「子ども、自立支援計画策定サポートシステム・ver.6.0(普及版)」を作製し、本システムの実用化を目指した。 (4)現在、本システムは16施設5個人(8都道県)において稼働中である。本システムの試用を経て、以下のような施設ケア展開上の成果が明らかになった。 1)児童相談所から送付される「児童票」を手がかりに「自立支援」「家族支援」の方略を検討する際に取り組むアセスメントの視点の共有が可能になった。 2)施設ケアの過程に「子ども自立支援計画」と「実践記録(養育記録)」を取り込むことにより、実践を振り返える視点が明確になった。 3)施設内LAN(有線)の導入により、スタッフ間での情報の共有が容易になり、併せて、PC上でのスーパービジョンの展開可能性が高まった。 4)施設間での情報交換が可能になったことにより、かかわり困難事例の対応について連携しながら検討する機会が拡大した。 5)子どもの「個人情報」を管理する意義について共通理解を持つことの重要性を認識する契機となった。
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