1.基礎資(史)料の収集 これまで、八千穂村全村健康管理事業に関する文献は、事業を主導した村や佐久病院による活動記録や研究・報告などが大半を占めていた。本研究では、これら既刊の二次資(史)料を整理するとともに、村の担当者や住民の保管している一次資(史)料の発掘に努め、いくつかの貴重な資(史)料を入手することができた。 佐久総合病院所蔵の文書についても、活字化された記録や報告だけでなく、健康診断に使用された台帳や手書きの日誌などの収集・整理を行い、活動の実像を検証するための基礎資(史)料を見出すことができた。 2.当事者・関係者からの情報収集と実態調査 健康管理活動に従事してきた新旧の職員および保健・医療・福祉の諸分野で活動を展開してきた住民の方々に対する聞き取り調査を行い、村の健康づくり活動を他面的に把握することができた。 健康管理事業の実務を担った村役場の事務担当者、広く地域で活動を展開した保健師、保健所で直接住民に対して指導や講習を行った栄養士、農業改良普及所の指導員などさまざまな職種の方々から、具体的な活動の実態を聴取させていただいた結果、行政や専門機関の職員と住民とのかかわりの諸相が明らかになった。 衣食住のさまざまな場面で生活改善に取り組んできた住民の方々から、地域の中で、住民中心の活動がどのように始まり発展していったのかを具体的に教えていただき、エンパワーメントが実現していく過程の一端を知ることができた。 3.研究の基盤整備 資(史)料収集と聞き取り調査によって、地域において、住民を主体とした健康づくり活動に関する基礎的な情報を入手することができた。これらの情報の整理・検討とさらなる調査によって、地域保健活動におけるエンパワーメント・アプローチの検証が展望できる。
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