本研究を通じて、教育と福祉の交錯する領域を検討する中で、児童福祉施設に入所する児童の課題は、その入所理由に児童虐待の入所が増加しており、その結果背景として心の傷つき体験をもつことによる問題行動が見られることが多いこと。その結果施設内でも処遇困難な子どもが増加していること。このような子どもの対応として児童福祉施設と学校とは、より緊密な連携をとること、いわゆる情報連携から行動連携につなげることが求められていること。しかし、その連携も簡単ではなく、その具体化の方法を明らかにする必要があることなど検討した。 そこで、(1)教育分野は、必ずしも非行が今日の中心的課題とは認識していないものの、子どもへの働きかけの難しさとあわせて、保護者との連携にはさまざまな課題を感じていること。しかし、その前提として教育分野が福祉機能について十分理解しているとは言い難いこと。 (2)学校の生徒指導問題に関しては単に注意するなどということにとどまらず、ゼロ・トレランス的基準化が必要であるが、それは厳罰や出席停止ということではなく、(3)スクールソーシャルワークの視点を導入し、きちんとアセスメントを行うことが必要であること。 (4)中国では、学校内で心理健康教育という視点で、心の問題への対応を正課の中で図っていることを紹介し。 (5)施設側としては施設退所までに学校への復学や進路を選択できるような、具体的目標をもったアフターケアのプログラム化が必要であり、児童自立支援施設における試案を提示した。
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