研究課題/領域番号 |
16530389
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
前田 美也子 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (50309027)
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研究分担者 |
ブー スン レイ 吉備国際大学, 大学院, 教授 (60299138)
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キーワード | コミュニティ実践 / 貧困 / 子ども家庭支援 / ソーシャルワーク / 社会福祉 / アクションリサーチ / 協働 / 韓国 |
研究概要 |
研究対象地域(韓国釜山広域市影島区)への多様なレベルでの介入と実践の結果、法人をはじめ行政機関、社会福祉機関、保育・教育機関、医療保健機関、区議会、ボランティア団体、住民代表などの公私関係機関/関係者の協働・参画を奨励・促進し、貧困児童・家族ソーシャルワーク専門職への研修・教育を実施し、専門的力量の向上と構造的な問題群の分析に取り組んだ。本研究の最大の成果として昨年度3月に設立した児童福祉施設「東三洞地域児童センター」(以下、センターとする)への直接・間接的援助を開始し、その1年間の実践経過と支援結果を定期的な訪問調査により分析した。特に、地域を基盤としたソーシャルワーク実践をセンター中心に展開していくことが児童の健康状態、学習状況の好転につながり、一部の崩壊家族においては、再統合の可能性が顕在化してきた。現地の専門ソーシャルワーカーとの密な連携と協働により、地域のニーズに対応したプログラム開発、協働体とともにプログラムの計画・実施などに関する相互評価をおこなった。今年度の実践研究の成果として以下のような方法と内容により、本研究で活用しているコミュニティ実践モデルの一定の有効性に関わる結果が得られたといえよう。 1、地域児童センターの目的、目標、事業、予算執行等の適正な実施・運営に関する助言・指導、スーパービジョンを定期的におこない、協働体と地域に情報公開しながら、啓発活動のための推進企画を実施した。 2、プログラム計画・実施・評価との関連において、センター、協働体、地域住民のそれぞれの機能と役割を明確にし、それらを具体的に示すマニュアル等を開発しながら、関係機関に発信した。 3、運営委員会、登録ボランティア等の組織化と、効果的な運営のための企画・介入をおこない、地域住民や行政を巻き込んだセンター支援のための集会等を開催した。 4、洞内の地域住民代表である統長への働きかけをおこない、地域リーダーシップ開発の要素を分析した。 5、登録児童の家庭訪問記録の詳細分析をおこない、著しい生活困窮・困難ケースの検討については、関係機関の専門家による地域ケース会議等を開催し、「子ども家庭ケースマネジメント」に関するシステム化の基盤づくりを進めた。 6、ソーシャルワーカーへの研修・教育を釜山市・ソウル市内で体系的に開催し、現任訓練の教材開発を進めた。 7、社会福祉、保育、教育等の専門家や関係者への聞き取り調査およびセンターの利用者である子どもの保護者への聞き取り調査等を実施し、センター設置の効果と支援システム構築をめぐる問題点と課題を分析した。 8、以上の研究結果の一部を報告書にまとめ、日本社会福祉学会大会、日本福祉文化学会等で発表した。
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