本研究は、日本における高齢者施設の終末ケア実態から、課題として発生されている「終末ケアマネジメント」のあり方を考察している。特にそのなかで、終末ケアにおいては、医療的ニーズが高くなる傾向があり、医療関係者へまかせてしまう傾向があることが明かになった。 その中で、以下の三点の所見を得た。 1.施設における終末ケアの課題は、必ずしも家庭のニーズに答えたものではないこと。そこに一定のズレが生じ、サービスの低下をもたらしていること。 2.終末ケアの家族のニーズは、施設側から終末期について十分な説明があり、その頻度が高い程家族の終末ケアに対する満足度も高くなること。 3.質の高い終末ケアを施設で実施するためには、本人や家族の明確な意思表示があり、ケアプランの中にその意向が十分に反映されていること。 以上の三点が明かにされた。しかし、一方では終末ケアを進めるうえで近年の大きな課題が山積していることも、筆者の調査から明かにされた。それは、多くの施設では慢性的な介護職員不足が指摘される。つまり、介護職員不足が利用者に対して十分なケア実践に至っていないことなどがあげられる。 つまり介護保険制度化によるケアマネジメントの導入から、更に質の高い終末期ケアを進めていくためには、施設のケアマネらが中心となり、家族の願い・施設の課題・社会資源の三者も融合した「ケアマネジメント」体制が急務であることが本研究から明かにされた。 そこで本研究の報告書の一部では、「施設で終末ケアをどのように進めるか」の入門書も開発している。
|