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2006 年度 実績報告書

不本意な社会的アイデンティティと差別的態度の関係に関する研究-日米を比較して-

研究課題

研究課題/領域番号 16530401
研究機関大阪市立大学

研究代表者

池上 知子  大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90191866)

研究分担者 石田 靖彦  愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10314064)
キーワード社会的アイデンティティ / 集団脱同一視 / 偏見・差別 / ステレオタイプ / ステイタス・システム / 学歴社会 / 国際情報交換 / 米国
研究概要

本研究は、不本意な社会的アイデンティティ(不本意な集団所属)が、集団間序列に基づく偏見や差別意識をいかに助長するか、その心理機制を検証すると共に、不本意な社会的アイデンティティと差別的態度の関係が社会システムによってどのように異なるかを日本と米国を比較することによって明らかにすることを目的としている。
具体的には、日本社会は米国社会に比べ大学間の序列が明確で学歴の持つステイタス機能への信念が根強いことに着目し、日米の大学生を対象に、所属大学への脱同一視が、所属校と地位差のある他校の学生に対する評価にどのように影響するかを検討することにした。前年度は、前々年度に作成した大学同一視・脱同一視尺度を用いて、脱同一視傾向の強い大学生の内集団への脅威に対する反応を日米間で比較したところ、日本の大学生は下位校の能力特性次元での評価を下げることによって脅威に対処するのに対し、米国の大学生は上位校の同次元での評価を下げることによって対処するというように対照的なパターンを示した。この結果は、日本の大学生は大学間序列の背後にある学歴社会システムを肯定しながら脅威に対処し、米国の大学生は序列システム自体を否定することによって対処すると解釈した。
今年度は、上記の考察の妥当性を検証するべく、学歴主義を容認する度合いによって脅威に対する反応が異なるかどうかを検討した。すると、脱同一視が上位校の評価の引き下げに結びつく傾向は、学歴主義への容認度が高い場合に顕著となり、脱同一視が下位校の評価の引き下げに結びつきやすいことが明らかとなり、日米の大学生の反応の違いは、社会システムに対する認知の相違が関係していることが示された。加えて、脱同一視得点と学歴主義受容度との間に正の相関関係が認められ、階層構造が肯定されている社会ほど不本意なアイデンティティを生み出しやすく、序列に基づいた差別的態度が助長されやすいことが伺われた。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Status hierarchy and the role of disidentification in discriminatory perception of outgroups.

    • 著者名/発表者名
      Ikegami, T., Ishida, Y.
    • 雑誌名

      Japanese Psychological Research 49巻2号(掲載内定)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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