社会的環境下における対人関係の形成・維持・発展に関する認知行動的技能を社会的技能(ソーシャル・スキル)としてとらえ、異文化交流場面におけるその向上を意図した実験的セッションを試みた。昨年度に実施したゲスト向けの実験的セッションについて、1年後フォローアップを実施した。セッション中に学習された認知と行動が、実生活においてどの程度活用されたかを調べ、セッションの長期効果と課題の妥当性を検討した。異質な文化行動も社会文化的文脈下では妥当であることを認識し、違和感が減じ、行動パターンを観察し、自分の判断で自身の行動にも取り入れるなど、認知的・行動的な文化理解の進展と適応性の向上が見られた。また昨年度とメンバーを変えて、ほぼ同内容のセッションを実施し、参加者によって反応がどう異なるかをみた。セッションは、本研究が提唱するAUC-GS学習モデルに基づいたパッケージ学習で、最終段階にソーシャルスキル学習を組み込んだものである。各構成パーツに対する反応は、昨年度のメンバーと一部違うことが分かり、異同について検討を行った。ゲスト向けセッションについては、学会発表を二件を行った。ホスト向けのミニチュアセッションについても、昨年度に引き続き実施し、参加者の反応を調べた。複数年次の成果を一つの論文にまとめ、ホスト教育の新たな形として提案した。そのほか、昨年度までの調査の成果をまとめた論文を執筆し、学会発表を行い、書籍の形で知見をまとめていった。
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