研究概要 |
本研究の目的は,集団過程に対するどのような働きかけ・マネジメントがチーム・コンピテンシーの育成・強化に有効なのか,社会心理学および組織科学的視点から明らかにすることにある。 2年計画の1年目である本年度は、(1)チーム・コンピテンシーの概念規定を明確に行ったうえで,(2)実務チームにおける課題遂行課程をフィールドワークによって把握し、(3)その成果に基づきながら、チーム・コミュニケーション、リーダーシップ、相互モニター、相互支援、相互調整等のチーム・コンピテンシーの構成変数を明らかにして、それらを的確に測定するツールの開発研究を進めた。 具体的には、コンピテンシーの概念規定や測定に関する先行研究のレビューを丹念に行って,それを参考にしつつ,チーム・コンピテンシー概念の明確化を行い、その構成要素を明確にして、研究のベースとなるチーム・コンピテンシー構造モデルを考案した。それと並行して、実務チームを対象にしたフィールドワークを実施した。原子力発電所のプラント運転チームの緊急事態対応訓練の様子の観察、総合病院の看護師チームに同行しながらの観察やインタビューを行い、理論的に構成したチーム・コンピテンシー構造モデルの妥当性を確認した。これらを土台に、チームとしてメンバーがコラボレートして業務遂行を行うことができるようになるプロセスを明確に記述することを年頭に置きながら、メンバー個々人レベルのコンピテンシーが,チーム・レベルのコンピテンシーに醸成されていく過程で、重要な「つなぎ」の働きをしている変数を同定することに取り組んだ。これらの実証的活動の成果と先行研究知見に基づく理論的研究の成果を融合して、チームを・コンピテンシーの測定尺度の開発を行った。現在、全国の総合病院の看護師チーム対象に質問紙調査を実施して、測定尺度の信頼性と妥当性を統計学的に確認する段階に進んでいる。(792字)
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