研究課題
子どもの創造性的活動の原初的な形態を表している考えられる幼児の遊びと表現活動の生成の過程について、集団における共同的な相互行為から明らかにすることが研究の目的であった。これまでの創造性とその発達的な研究では個人の才能で説明されてきたが、ここでは、共同による創発性の考え方に立って、創造性は社会的な相互行為的な活動の中で生まれてくること、その微視的な発生過程を幼児の2年間にわたる共同遊びの生成過程の観察、分析と、表現活動の分析を行った。そこでは、幼児は遊びのアイデアを始めは子どもの周りにあるモノの社会・文化的意味に依存し、支えられながら作り出しているが、次第にモノの物理的意味に支配されないで自由な発想でモノを創造的な意味に置き換えて使用していくといった変化が起きたり、遊びのルールへの重視が年長児になると見られるが、これも集団遊びの面白さを支えるためにはルールが必要であるといった自覚から生まれてくるものであることなどが明らかになった。これらの研究成果の一部は、国内学会、及び、国際学会(第1回International Conference of the International Society for Cultural and Activity Research(ISCAR),スペイン、9月、2005)で報告され、論文としてまとめられた。また、幼児の表現活動としては、幼児の描画の2年間にわたる観察を主に年長児になると次第に客観的な絵を描くように変化していく、つまり社会的な視点を入れた描画へと変わっていくことや、絵本の共同的な鑑賞の過程の分析に見られる身体的な共振過程などもあわせて明らかにした(主に佐藤を中心とした研究成果)。これらの共同的活動の変化は子どもの言語活動の中での言語意識の変化を生んでいることを明らかにした(主に伊藤を中心とした研究成果)。これらは国内学会で発表し、論文としてまとめられた。その他、創造性教育の問題について、日本の教育の問題と関連づけてアジア・太平洋の教育改革の動向を論じた編著書の中で佐藤が論文としてまとめた。
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Annual Report (Research and Clinical Center for Child Development), School of Education, Hokkaido University 28
ページ: 29-39
ページ: 51-61
ページ: 63-75
ページ: 41-49
教育(教育科学研究会) 71号
ページ: 70-76