1.CBS日本版の作成 Child Behavior Scale(CBS)の日本版の作成を行い、元と同じ攻撃性、非社交性、不安・臆病、向社会性、排斥、他動・注意散漫の6因子が抽出され、幼児期の社会的行動の査定に有効な尺度であることが明らかとなった。 2.情緒的制御の測定 MISC(Mood Induction Stimulus for Children)日本版を改訂した。MISC視聴時の生理的指標(発汗・心拍)の測定では、MISCが情緒反応を喚起する刺激であることが明らかとなった。 3.情緒的制御・認知的制御と社会的行動の関連 大学生に行った質問紙調査による社会的問題解決、情緒制御、およびビデオによる社会的情報処理の測定と大学生活における人間関係への適応の関連を検討した。不安という情緒は社会的問題の捉え方を規定し、社会的問題解決の捉え方は社会的問題の解決方略を規定し、社会的問題解決方略は人間関係への適応を規定していた。また、自己の情緒を他者に過剰に配慮して抑制することは人間関係の不適応をもたらした。質問紙による社会的問題解決とビデオによる社会的情報処理は適度に対応が見られたが、日常的な社会的問題解決として、比較的長期にわたる問題解決の過程と、対人場面における瞬間的な問題解決の2種類を想定することが必要であることが示唆された。 4.研究領域のレビュー論文の執筆 この10年間におけるわが国における仲間関係に関する研究を、特に社会的問題解決、社会的情報処理、情緒制御に焦点をあてその動向をまとめた。
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