本年度は、研究の初年度に当たり、障害児のきょうだい児のための心理発達援助プログラムの具体的な方法論や構成について、実際の障害児療育プログラムと併行する形で実施する中で、実践的な検討を加えた。プログラムは、大きく分けて二つ実施した。一つは、脳性麻痺を中心とする運動障害児のための療育キャンプに併行しておこなったもの、もう一つは、自閉症児親の会の開催する年少自閉症児キャンプに併行しておこなったものであった。いずれも、宿泊形式で行われたキャンプであったため、きょうだい児プログラムについても、1泊2日の宿泊形式で実施した。プログラム実施にあたっては、その前後において対象児の心理的体験に関するアンケート、母親のきょうだい児に対する評価に関するアンケートを実施し、本プログラム実施にあたって見られる効果や問題点について分析を行った。これらのきょうだい児プログラムは、来年度以降も継続して実施する予定になっており、現段階では、来年度以降のプログラムをより効果的に実践するための具体的方策を探っている段階であるが、以下の点が明らかになりつつある。 1.きょうだい児プログラムの実施に当たっては、"障害児のきょうだい"であることに焦点を当てることについては、極めて慎重に行う必要があること。 2.プログラムにきょうだい児が求めていることは、「主役となる」体験であること。 3.きょうだい児の抱える心理的問題は、家族という枠組みの中で考慮する必要があること。 以上の点を踏まえて、来年度以降のプログラム実施に関する検討を加える予定である。
|