平成16年度、平成17年度に引き続き、自閉症児を主とする発達障害児のきょうだいに対する支援プログラムを実施しながら、きょうだい児の心理的特徴についての分析を行い、3年間の研究結果のとりまとめを行った。 きょうだい児に対して、図版を提示しながらの認知特性の検討を行ったところ、以下の点が示唆された。(1)発達障害児のきょうだい児は、親の気持ちや期待をくみ取る場面において、定型発達児のきょうだいよりも、自分が家族内で持つべき「役割責任感」を高く感じている。定型発達児のきょうだい児は、弟や妹に対して何かを譲るという行為において強い負担感を感じない一方で、発達障害児のきょうだい児は、譲るという行為において負担感を抱いている。すなわち、発達障害児のきょうだい児は、きょうだい関係において、親の期待をくみ取り、譲ることができつつも、何かしらの葛藤を抱えていることが推察される。(2)発達障害児のきょうだい児は、定型発達児のきょうだいよりも、きょうだい関係において、「面倒を見る」ということにおいてより強い責任感を感じている。(3)発達障害児の母親がきょうだい児の同胞の世話役割に対する負担感を低く評価する場合にきょうだい児側の負担感が高い一方、母親のきょうだい児の感じる世話役割の負担感の評価が高い場合に実際のきょうだい児の感じる負担感が低い傾向が認められた。すなわち、母親の日常的なきょうだい児に対する配慮がきょうだい児の負担感の軽減に寄与する可能性がある。 研究最終年度である本年度はこれらの研究結果を研究成果報告書としてまとめた。
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