研究課題
基盤研究(C)
本研究は、オノマトペ(擬態語・擬声語)という感性に関わる表現の表出状況を調査することによって、言語・認知・行為についての知識体系のあり方とその発達について、心理学、言語学、教育学、障害児病理学などの諸側面から統合的・包括的に考察することを目的としている。そして、その中心課題は以下に示す2点であった。(1)幼年期の子どもや知的障害児のオノマトペ使用状況の分析を通して、子どもが内外世界の状況や変化をどのように知覚し、認識していくのかを探求する。(2)オノマトペ使用による教育活動並びに療育活動の有効性について実証する。本目的を達成するために、国内においては、幼児教育施設・小学校・養護学校の各教育・療育場面を対象に、オノマトペ使用に関する観察と聞き取りによる実態調査を行った。また、国外においては、オノマトペ表現の豊富なハングル語教育について、韓国テグ市とソウル市での現地見学・聞き取り調査を行った。その結果、概略以下のような知見を得ることができた。1.乳幼児が使用するオノマトペを「音を表現」「動きを表現」「状態・感覚を表現」「内的状態を表現」に分類した結果、外的世界を単なる音や声で写すことから、外的世界と自分の感覚との複雑な関係をオノマトペで表現するようになる(発達する)ことが推測された。この内的変容はオノマトペの連想内容の変容にも如実に現れ、連想が深まっていく。2.オノマトペを教育・療育活動で使用することの有効性としては、授業の活性化が第一に挙げられる。オノマトペは、臨場感を持たせて児童を授業にひきつける動機付け的役割から、対話と動作を促進する役割を経て、動作の継続・応援をする共鳴・共振現象へと発展し、授業を活性化する。3.子どものオノマトペの表出には、親や教師といった周囲の大人の言語活動や言語感覚が多大な影響を及ぼす。4.韓国では、自己表現能力育成のために、幼児教育・学校教育・障害児教育等においてオノマトペを重視している。韓国教育に学び、国内におけるオノマトペ使用の授業展開と教材開発を提案していきたい。
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Hyogo University of Teacher Education Journal, Hyogo University of Teacher Education Vol.30
学校教育学研究 第19巻(印刷中)
Journal of School Education Research, Center for School Education Research, Hyogo University of Teacher Education Vol.19(in press)
Journal of School Education Research, Center for School Education Research, Hyogo University of Teacher Education Vol.19 (in press)