研究概要 |
本研究では、成人期の女性がもつ現在の対人的枠組みや過去の対人的経験のとらえ方が、青年後期から成人初期にかけてどの位変化するのか、それらの安定性と変動について縦断的方法によって検討した。まず対人的枠組であるBowlbyのIWMの安定性と変動に関する考え方と実証的研究について述べ、なぜ青年後期から成人期初期という時期を取り上げるかを述べた。研究1では卒後10年、30代になった看護短大の卒業生を対象に、11年後の縦断的な質問紙調査を行い、成人期の女性がもつ現在の対人的枠組や過去の対人的経験のとらえ方が、青年後期からどの位変化しているのか、それらの変化・安定性について、縦断的方法によって検討した(教心学会,2005で発表)。研究2では、研究1の被調査者の内、同意を得られた者に更に面接調査を行い、短大在学中から現在に至る11年間を回想してもらい、その間の4時期に測定されてきたIWM得点の変化と面接時に回想された内容との関連について検討した(発心学会,2006で発表予定)。研究3では、同じ面接調査において幼少期から短大時代までの生育の過程について回想してもらってから、本人が11年前に記述した生育史を提示し、両者を比べた印象を述べてもらい、過去に記述したものを本人がどう感じるか、その印象について検討した(教心学会,2006で発表予定)。研究4では、同じ面接調査から成人期の母親認知がどのようであるかをとらえ、自分の母親に対する気持がどう変化するか、成人期の認知とそれ以前の認知はどう関連しているかを、以前記述された生育史と比較することにより検討した。研究5では、研究1と研究2について国際応用心理学会(July, 2006, in Athens)で発表するために英文でまとめた。研究6では、面接の被調査者に13年後に再度YG検査を行い、短大1年次から成人期初期の13年間でYG検査の12の特性は変化するのか、安定性は高いのかの検討を行った。
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