本研究では、女性がもつ現在の対人的枠組みや過去の対人的経験のとらえ方が、青年後期から成人初期にかけてどの位変化するのか、それらの安定性と変動について縦断的方法によって検討した。まずBowlbyの内的作業モデル(IWM)の安定性と変動に関する考え方について述べ、それと関連する研究のレヴューと、なぜ青年後期から成人期初期という時期を取り上げるのかを述べた。 研究1では看護短大生の時に調査をした30代の51名の女性に質問紙調査を行い、成人期の女性がもつ現在の対人的枠組や過去の対人的経験のとらえ方が、1994年と2005年では異なるのか否かについて、縦断的方法によって検討した(2005に発表)。研究2では、研究1に加えて更に参加の同意を得られた20名の女性に面接調査を行い、短大在学中から現在に至る11年間を回想してもらい、その間の4時期に以前の研究て測定してきたIWM得点の変化と、面接時に回想された内容との関連について検討した(2006に発表)。研究3では、面接調査において幼少期から短大時代までの生育の過程について回想してもらい、本人が11年前に記述した生育史を提示してから、両者を比べた印象を述べてもらい、11年前に記述したものを本人がどう感じるか、その印象について検討した(2006に発表予定)。研究4では、面接データから成人期の母親認知がどのようであるかをとらえ、母親に対する気持がどのように異なるか、成人期の認知とそれ以前の認知はどう関連しているかを、2つの回想を比較することにより検討した。研究5は、研究1と研究2について国際学会(2006)で発表するために英文でまとめたものてある。研究6では、1992年と2005年の2時期に実施したYG検査の12の特性の安定性と変化について検討を行った。
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